6.15.2009

東京都庭園美術館②


東京都庭園美術館で開催されている「国立エルミタージュ美術館所蔵 エカテリーナ2世の四大デイナーセット ヨーロッパ磁器に見る宮廷晩餐会」を観てきた。帰ってから米原万里の「旅行者の朝食」をふと思い出して、ぱらぱらめくってみる。「キャビアをめぐる虚実」の中にロシア料理とフランス料理の歴史についてこんなことが書いてある。

・ 18世紀を通して、ロシアの支配階級は料理だけでなくサービス方式もフランス風一辺倒だった(フランス式のサービスでは全ての料理がいっぺんに食卓に並べられた)。
・ 1815年にロシアを訪れたフランスきっての名料理人かつ研究者、キャレームがロシア料理を詳細に研究し、伝統的な料理とサービス方式の再発掘に取り組み、それに刺激されて18世紀以前にあった料理とサービスが復活した。彼の後継者達がこの改革をすすめた結果、一皿ずつ料理を提供する古い伝統的なロシア式サービスに取って代わった。
・ 19世紀初めにロシア皇帝の大使としてパリに駐在していたクラーキン大公によってロシアの伝統的な食べ方が紹介され、冷たいものは冷たく、温かいものは温かく、最も美味しい状態で供す、ロシア式スタイルが取り入れられ、現在のフランス料理のコース形式が確立した。

そうだったそうだった。つまり、展示されているセルヴィス(器形、絵付けデザインに統一をもたせた食器セットのこと)でエカテリーナたちが食事を楽しんでいた頃はまだフランス式スタイルだったのだ(どれだけの料理が並べられたのだろう!)。それが、フランス人研究家によってロシア料理の伝統的作法が「発見」されるや、一品づつ提供するというロシア式スタイルのサービスに再び取って代わることとなる。私たちがフランスで生まれたと思っているコース料理も、実はロシアで生まれたものなのだ。
日本にだって同じことがある。金箔がはがれ落ちた結果、「わびさび」を内なる静さによって体現しているかのような仏像は日本で生まれたものではない。インドで生まれた仏教は、中国・朝鮮半島から伝来し、時間をかけて日本の文化に咀嚼されながら、文化の中核に収まっていった。きんぴかの仏像と真っ赤な伽藍は日本というよりは、中国のイメージに近い。元々日本のものではなかったものが、文化の壁を越え、その土地の一部として根付いている。物事のはじまりをひもとくと、あちこちで糸がからみあっているのがわかっておもしろいなぁと思う。

閑話休題・・・!話ずれすぎよね・・・。

今回の展示品の中で好きなものをあげると言われたら・・・?そういう心持で見るのもまた楽しい。

1.嗅ぎ煙草入れ
2.<聖ゲオルギー・セルヴィス>のクリームカップ(蓋にリスの細工がついてかわいい!)
3.<ベルリン・デザート・セルヴィス>の楕円バスケット(フルーツ柄には昔から弱い)

嗅ぎ煙草とは薫りを楽しむ煙草で粉末状になったもの。それを入れる小箱はダイヤモンド・エメラルド・トパーズなどが埋め込まれて、それ自体が小さな宝石のようだった。手におさまるくらいの大きさにも、女子的物欲をくすぐられる。とにかくかわいい!後ろで見ていた誰かが「あのきらきら、携帯みたいだよね」って・・・。それはライン・ストーンだよ・・・。もし、エカテリーナの時代に携帯があったら、間違いなく、自分の肖像をあしらったカメオつき総ダイヤモンド携帯にしてると思うけど!っていうか、多分1個じゃ物足りなくて2、30個くらいは作ったと思う!

庭園美術館の内装もアールデコ建築でとってもクラシックな乙女スポット。
庭のお花を見ながら散策もできます。ちょっと先だけど、来年3月から始まる「建物公開」展覧会にも絶対行きたい!